解体工事を行うにあたり、ときには思いもよらないトラブルが起こることも考えられます。
しかしそのトラブルは対策によって回避できることが多く、原因となるものを排除しておくことが非常に重要となります。
トラブルが原因となってご近所付き合いが悪くなるようでは、今後の生活において悪影響を及ぼしかねません。当然ながら予期せぬトラブルが発生した場合には被害者に対し誠心誠意謝罪をすることが解決への近道となりますが、まずは事前にできることは対策として取り組んでおくべきでしょう。
近隣とのトラブルについて起こる可能性のあることや、トラブルを回避するためにしておきたいことなど解説いたします。
解体工事における近隣トラブルについては起こる可能性を想定して対策を施すことが重要です。
どのようなことが起こる可能性があるのか見ていきましょう。
解体工事中に廃材が飛散することや工具などが落下することによって、燐家の壁や自動車などの財物に対し損傷を与えることがあります。
また近隣に古い住宅などがあった場合には、重機作業による大きな振動によって壁の一部がひび割れたり、内壁が痛んだりするなどの影響が出ることもあります。
そして住宅地などでは非常に近距離で接しているようなところも多く、足場が接近するケースや、燐家の敷地内に足場を設置しなくてはいけないようなケースには特に注意が必要となります。
ちなみに建築工事において敷地が狭小であることが原因で足場を設置できない場合、一時的に必要な範囲において隣地の使用を請求することができると民法に定められています。
ただし承諾を得ることなく隣人の敷地内に立ち入ることは認められていないため、必ず使用することの承諾を得たうえで足場の設置を行う必要があります。
解体工事中に発生する粉じんの飛散によって近隣住宅における洗濯物や自動車などを汚してしまうことがあります。
また仕事や仮眠のじゃまになるなど、工事中の騒音が原因で不満や苦情を訴えられることもあります。
日常生活を阻害するなど不快な思いを与えることからトラブルに発展する事例です。
解体業者の工事車両の路上駐車によって近隣住人の通行の妨げになることがあります。
また解体業者の作業員によるゴミやたばこのポイ捨てや敷地への侵入、マナーや態度が悪い場合は近隣住人に対し非常に悪い印象を与え、クレームや苦情などトラブルに発展するケースもあります。
解体業者による社員教育に問題がある場合に起こりやすい事例となります。
工事中ならびに工事後においても有効となるのは、近隣住人と信頼関係が構築できているかが大きなポイントです。
親しき中にも礼儀ありとはよくいったもので、いくら親しい間柄であっても工事前にあいさつをしておくことが重要となってきます。
工事中は少なからず迷惑をかけてしまうことになりますが、近隣に暮らすものどうしであれば「お互いさま」という意識で許容しあうことが一般的で、そうすることで地域としてのコミュニティが成り立つわけです。
あいさつといってもただの報告ではなく、理解してもらい許容してもらうことが目的となるため、工事内容や期間などがわかるよう丁寧な説明を行います。
できれば施主と解体業者が一緒にあいさつ回りを行うことが理想的で、あいさつ文を作成して渡すなど文章で残すことで理解を得やすくなるでしょう。
作業中の問い合わせがある場合の連絡先として業者の担当者および電話番号を記載しておくことも必要です。
解体業者を探すときには、工事前の近隣あいさつを行うかどうかという点も確認しておくことがポイントです。
あいさつに伺う範囲として、向こう3軒両隣と真裏については最低限必要となり、その他音が響きそうな範囲、工事車両や収集運搬車両が駐車することで迷惑をかけてしまう可能性がある範囲などが対象となります。
解体工事の前に行う家屋調査は、工事完了後においてトラブルが発生した場合に解決へと導く役割として非常に効果の高いものです。
家屋調査とは解体工事におよび新築工事を行うにあたり、近隣の家屋などに対して行う現況調査のことで、工事後に近隣の家屋で損傷や汚れなどがあった場合、工事が原因であるのかその可能性について確認をすることができます。
家屋調査は、不動産登記に必要となる土地や建物の調査および測量、申請 手続きなどをおもな業務とする土地家屋調査士とは異なり、調査会社やコンサルタント会社によって行われることが一般的です。
近隣における家屋の住人の許可を得たうえで、建物内外のできるだけ詳細な調査を行いますが、写真などの記録として残すことによって、大きなトラブルに発展することを防止します。
おもな調査内容として、建物内外における壁やモルタルなどに見られる亀裂や隙間、床や柱などの傾斜、建具の建てつけなどです。
調査費用は概ね30,000円前後が相場となっているようです。
もし解体工事後に近隣の家屋で損傷や汚れが見つかった場合、家屋調査をもとに解体工事が原因であるかどうか判断することで、補修や清掃などの費用を負担する責任の所在が明確になります。
また写真などの記録は、補修など保険を利用する場合には資料とし利用することができ、万が一問題が大きくなり訴訟へと発展した場合には証拠として機能することになります。
解体工事に伴って発生する粉塵の飛散や騒音などを軽減するために有効となるのが養生シートです。
工事前ではなく工事中に行う対策となりますが、依頼を検討する解体業者に対し養生シートなど近隣対策について聞いたうえで判断することも大きなポイントとなります。
養生シートを現場となる敷地を囲むように設置することで、粉じんの飛散や騒音などを軽減させるとともに、近隣に対して配慮を行っていることをアピールする効果とさらに安心を与えることにもつながります。
養生シートの設置は法的に義務付けられているわけではなく、設置をすることなく解体工事を行った場合でも罰則が科されるということではありません。
ただしトラブルを未然に防ぐという意味においても、養生シートを設置して作業を行う解体業者であることが理想的といえるでしょう。
養生シートにはいくつかの種類があります。
養生シートをチェックすることで解体業者の工事に対する向き合い方を確認することができます。
解体工事の内容に適した養生シートを使用しているか、大きく破損しているような養生シートを使い続けていないか、また見た目に美しく張られているかなど、信頼度を測るうえでも注目しておきたいポイントのひとつといえます。
解体現場における作業員のマナーに関する部分で近隣住人から苦情を受けるようなことがあると、ご近所付き合いにも影響することがあるかもしれません。
マナーや安全については、解体業者によって社員教育が行われていることが必要です。
したがって業者選択においてはしっかりと見極めなければいけませんが、見積もり金額だけでなく総合的に判断をして決定することが重要です。
まずは複数業者から見積もりを受け、それらの業者に関する情報についてインターネットなどを利用して手に入れることが必要となります。
そして解体工事業に関連する建設業許可や登録を保持しているか、マニフェストの提出をしてもらえるかなど事前に確認をします。
ホームページで過去の実績がチェックできるようであれば判断するうえで貴重な情報となりますが、掲載されていないようなら直接問い合わせてみることもよいでしょう。
もし現在稼働している現場が近距離にあるのであれば、行ってみることで作業員の対応や養生方法、工事車両の駐車状況、作業終了後の片付けや清掃状況などを見ることができます。
その他不明な点はすべて明確にしておくことが必要であるため、メールや電話、もしくは直接会って確認を行います。
対応のなかで、専門的な知識や人柄などから信頼できる人であるかを見極め、すべてをふまえて総合的に判断しましょう。
解体工事は、ときには近隣トラブルが起こることもありますが、事前に対策をしておくことで防げることがほとんどです。
なかでも近隣あいさつは非常に重要です。
解体工事を行う場合においては、ある程度迷惑がかかることは仕方がないことで、工事期間中はできるだけ許容してもらえるようお願いする作業となります。
そのうえで工事中の対策を施すことが重要となり、そうすることで安心につながり事故やトラブルの防止を促します。
工事後においても引き続きよい関係で生活を送ることができるよう、事前にできることはやっておくことをおすすめいたします。
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